ヘリカルプラズマにおける電磁的乱流輸送


ヘリカルプラズマにおける電磁的乱流のジャイロ運動論シミュレーション

磁場閉じ込めトーラスプラズマにおいてプラズマベータ(無次元化した圧力)が有限な場合、最も研究されてきたイオン温度勾配不安定性が駆動する乱流(ITG乱流)は安定化される傾向がある。典型的な計算ではベータ値が大い場合、ITG乱流は安定になり粒子・熱輸送に寄与しなくなり、他の電磁的な不安定性が乱流を駆動する。大型核融合トーラスプラズマ装置ではプラズマベータは数%になるため、この電磁的な乱流の理解が必須である。 この研究では、電磁的ジャイロ運動論シミュレーションコードを開発し、プラズマベータが有限なトカマクプラズマおよび大型ヘリカル装置(LHD)におけるプラズマの乱流輸送を調べた。 そして、有限ベータプラズマではゾーナル流が弱いことを示すとともに、ヘリカルプラズマでは不安定性のモード構造に起因する新たな乱流飽和機構があることを明らかにした。 (左図は低ベータにおける電磁的イオン温度勾配(ITG)乱流の静電ポテンシャル分布。右図は高ベータにおける運動論的バルーニングモード乱流の静電ポテンシャル分布。)


  • A. Ishizawa, T.-H. Watanabe, H. Sugama, S. Maeyama and N. Nakajima
    Electromagnetic gyrokinetic turbulence in finite-beta helical plasmas
    Physics of Plasmas, 21, 055905 (2014)


  • A. Ishizawa, S. Maeyama, T.-H.Watanabe, H. Sugama and N. Nakajima
    Gyrokinetic turbulence simulations of high-beta tokamak and helical plasmas with full-kinetic and hybrid models
    Nuclear Fusion, 53, 053007 (2013)